複数業務要因災害

労災保険制度の概要

「労災保険」は、労働者が業務や通勤が原因で、けがや病気等 になったときや死亡したときに、治療費や休業補償など、必要な 保険給付を行う制度です。これまでは、複数の会社で働いている労働者の方について、働 いているすべての会社の賃金額を基に保険給付が行われないこと、すべての会社の業務上の負荷(労働時間やストレス等)を合わせて評価して労災認定されないことが課題でした。このため、多様な働き方を選択する方やパート労働者等で複数就業している方が増えているなど、副業・兼業を取り巻く状況の変化を踏まえ、複数事業労働者の方が安心して働くことができるような環境を整備する観点から、労働者災害補償保険法(昭和22年法律第50号)が改正されました。 


複数事業労働者とは

☻POINT 1⃣  今回の改正制度の対象となる複数事業労働者の方です。

今回の労働者災害補償保険法の改正により、複数の事業場で働いている労働者の方への 労災保険給付が変わります。 

「複数事業労働者」とは、

 ⇒被災した(業務や通勤が原因でけがや病気などになったり死亡した)時点で、事業主 が同一でない複数の事業場と労働契約関係にある労働者の方 のことをいいます。

(参考)改正後の労災法 

第1条 労働者災害補償保険は、業務上の事由、事業主が同一人でない二以上の事業に使用される労働者( 以下「複数事業労働者」という。)の二以上の事業の業務を要因とする事由又は通勤による労働者の負傷、 疾病、障害、死亡等に対して迅速かつ公正な保護をするため、必要な保険給付を行い、あわせて、業務上の 事由、複数事業労働者の二以上の事業の業務を要因とする事由又は通勤により負傷し、又は疾病にかかつた 労働者の社会復帰の促進、当該労働者及びその遺族の援護、労働者の安全及び衛生の確保等を図り、もつて 労働者の福祉の増進に寄与することを目的とする。 

 

 


☻POINT 2⃣  特別加入をしている方などについても対象となります。

その他に、以下のような方も「複数事業労働者」となります。

⇒1つの会社と労働契約関係にあり、他の就業について特別加入している方

⇒複数の就業について特別加入をしている方

被災した時点で複数の会社について労働契約関係にない場合であっても、その原因や要 因となる事由が発生した時点で、複数の会社と労働契約関係であった場合には「複数事 業労働者に類する者」として、改正制度の対象となりえます。

★1つの事業場でしか働いていない方についての労災保険給付は、今回の法改正によっても変わ りません。複数事業労働者の方についてのみ、次ページ以降の改正制度の対象となります。

 


改正内容(賃金額の合算と負荷の総合的評価)

労災保険給付のうち、休業(補償)等給付については、給付基礎日額をもとに保険給付額が

決定されます。これまでは給付基礎日額を、労働災害が発生した事業場の賃金額を基礎とし

て算定していました。今回の改正により、複数の事業場で働いている場合等については、全

ての事業場等の賃金額を合算した額を基礎として給付基礎日額が算定されます。

☻POINT 1⃣  複数事業労働者の方への保険給付が、全ての働いている会社の賃金額を基礎に支払われるようになります。

●今回の改正によって、複数事業労働者の方については、各就業先の事業場で支払われている賃金額を合算した額を基礎として給付基礎日額(保険給付の算定基礎となる日額)が決定されます。

●業務災害や通勤災害の別にかかわらず、複数事業労働者であれば対象です。従って、下記で説明する、複数業務要因災害の場合にあっても同様の取り扱いがなされます。

●今回の改正により、保険給付額の算定方法の変更がされるのは、給付基礎日額を使用して保険給付額を決定する以下の給付です。

 ▶休業補償給付、休業給付、複数事業労働者休業給付

 ▶障害補償給付、障害給付、複数事業労働者障害給付

 ▶遺族補償給付、遺族給付、複数事業労働者遺族給付

 ▶葬祭料、葬祭給付、複数事業労働者葬祭給付

 ▶傷病補償年金、傷病年金、複数事業労働者傷病年金

●その他に、社会復帰促進等事業として行われる特別支給金についても、複数事業労働者の方については、給付基礎日額等をもとに支払われるものについては同様の取り扱いがなされます。

※複数事業労働者でない方(1つの事業場でしか働いていない方)については、これまで同様に、その働いている事業場の賃金額を基礎として給付基礎日額が決定されます。

 

 


これまでは、1つの事業場のみの業務上の負荷(労働時間やストレス等)を評価して、労災認定の判断をしていました。今回の改正によって、1つの事業場のみでは労災認定されない場合は、複数の事業場の業務上の負荷を総合的に評価して、労災認定の判断をするようになります。

☻POINT 2⃣  複数の会社等の業務上の負荷(労働時間やストレス等)を総合的に評価して、労災認定の判断をするようになります。

●今回の改正によって、新しく複数の事業の業務を要因とする傷病等(負傷、疾病、障害又は死亡)についても、労災保険給付の対象となります。新しく支給事由となるこの災害を「複数業務要因災害」といいます。なお、対象となる傷病等は、脳・心臓疾患や精神障害などです。

●「複数業務要因災害」たる保険給付として、以下の保険給付が新設されます。

 複数事業労働者休業給付

 複数事業労働者療養給付

 複数事業労働者障害給付

 複数事業労働者遺族給付

 複数事業労働者葬祭給付

 複数事業労働者傷病年金

 複数事業労働者介護給付

●複数事業労働者の方については、1つの事業場のみの業務上の負荷(労働時間やストレス等)を評価して業務災害に当たらない場合に、複数の事業場等の業務上の負荷を総合的に評価して労災認定できるか判断します。これにより労災認定されるときには、上記の「複数業務要因災害」を支給事由とする各種保険給付が支給されます。

※1つの事業場のみの業務上の負荷を評価するだけで労災認定の判断ができる場合は、これまでどおり「業務災害」として、業務災害に係る各種保険給付が支給されます。なお、この場合であっても、全ての就業先の事業場の賃金額を合算した額を基礎に保険給付されます。

☻POINT 3⃣  労働者災害補償保険法の改正に当たっては、経過措置を設けています。

●施行に当たっては経過措置が設けられており、2020年9月1日(改正労働者災害補償保険法の施行日)以後に発生した傷病等についてのみ、今般の制度改正の対象となります。

●そのため、2020年8月31日以前に発生した傷病等については、従来どおり改正前の制度により労災保険給付が行われます。

☻POINT 4⃣   今回の制度改正はメリット制に影響しません。

●労災保険には、各事業場の業務災害の多寡に応じ、労災保険率又は保険料を増減させる、メリット制があります。

●今般の制度改正については、メリット制には影響せず。業務災害が発生した事業場の賃金に相当する保険給付額のみがメリット制に影響します。

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